お知らせ

革工房のある日の風景

一日はあっという間。気づけば一週間経ち、はい、また一か月。そして今年も3分の1が…。

毎日のルーティーンとイレギュラーな事ばかり。

住宅街にひっそりとたたずむ革工房…。

今日はそんな革工房のよくある一日を淡々とお送りしましょう。

 

朝出勤。ポットに電源を入れてお湯を沸かしラジオをつける。お店のドアを開けて換気をしながら

パソコンの電源を入れてコーヒーを淹れつつ。

前日のオンラインショップからのご注文に目を通して伝票作成。お問い合わせメールにも返信。

午前中はセミオーダーやフルオーダーの製作に没頭しているとスマホのアラームが鳴る。

今日は手伝ってくれているスタッフが別の仕事でいないので12時前に慌てるように開店準備!

お店のBGMはyou tubeミックスかtune inのインターネットラジオにこのところはまっています。

 

天気がいい日はサボテンや多肉たちにたっぷり水やりして日光浴。

腹時計がなるとお昼ご飯。最近のお気に入りは玄米おにぎり。こぶし大ほどあるおにぎりをほおばりながらお店の掃除。

午後一で発送準備。中身を間違えないようにね。完成ホヤホヤの紙袋のセミオーダー。持ち手の四つ編みも編んでみました。

途中製作もしていると近所の作家さんがきて常連さんのお茶菓子の差し入れでタイミングよくコーヒータイム。

ほっと一息、至福の時間。

お散歩の時は必ず立ち寄ってくれる常連のブーすけ君!顔をぐしゃぐしゃにしてあげたい!

その後も接客、近所のお店へ納品。注文していた革が届き開梱。同時にオンライン分も出荷完了!発送メールも忘れずに。

今日も初めてご来店のお客様とのオーダーの打合せ。友人の紹介でご来店くださり革のエプロンに一目ぼれ。

端革使いのロングエプロンの為、フィッティングしながら仕様を決めました。

 

常連様からのリペアの納品。

 

フルオーダーの納品。

 

 

そんなこんなであっという間に夕方6時。今日の夕陽は特別きれい。

いつものように自宅で作業を終えたスタッフが納品に来てくれて立ち話。

お店を閉めたらそこからもう一仕事。

今年からノー残業デーを作って早めに切り上げるように。といいながらもこの日は地域の卓球クラブの日。初心者のストレス発散…、いや、運動不足解消の為汗流してます。

家に戻って家事を済ませて再び工房へ。明日のワークショップの準備と帳簿まとめを軽く済ませてこの日の業務終了~。

帰り道に寄り道して工房近くのバルで一杯。

今日も一日あっという間。無事に終わって感謝です。そしてまた明日へつづく。

紙袋メンテナンス

永くご愛用の” 紙袋のような革袋 ” のメンテンスの様子です。

毎日お仕事用に活躍の革袋はかなりお疲れのようでいざリフレッシュを!

(こちらはセピアブラウンの革色でサイズとステッチカラーをカスタマイズしたセミオーダー品です)

まずは軽く汚れを落としてシミのある場所を確認しながら全体を水で濡らします。シミの部分までしっかりと水分を染み込ませます。その後乾いたタオルで水分を吸い取るようにふき取ります。(濡らすと焦げ茶!!!)

その後陰干しをしてしっかりと乾かします。(ドライヤーなどの熱風は急激な乾燥で縮むことがあるので避けてください)

この日はお天気も良くカラッとしていたのでサーキュレーターで水分を飛ばして陰干ししてみました。

完全に乾いたら低温のアイロンであて布をして折り癖をつけてプレスしてあげます。

こちらの素材は薄手の豚革なので皮革用の保油剤等を施すとパリッとした質感が損なわれますのでなるべく何もしないほうがよいです。

今回お預かりした革袋は雨や水ジミなどが目立っていたので、仕上げにレザー用の撥水スプレーをかけてみました。開口部分がクタッとしているので内側に補強革を接着してメンテンスの完成です。

完全には取りきれないシミも残っている個所もありますがなかなかきれいによみがえりました。

 

 

この先も永くご愛用くださるとうれしいです。

なお商品をお買い上げ時にメンテナンス用のリーフレットもお付けしていますが、自分でメンテをするのは不安があるという方はお気軽にお問い合わせくださいね。

 

スマホだけポシェット

スマホが大きくなってポケットに入りずらくなってきたので

斜め掛けができるスマホだけ入るサイズのポシェットが欲しいとのオーダー。

 

ヨコ型、タテ型、カブセタイプ…。色々出来ました。

 

肩への負担を考えて肩当てパッドを付ければ細めの革紐でもスマートに。

内部にはポケットが1か所。

シンプルでありながら革の魅力がひきたつそんなポシェットです。どこへ行くのもお供します。

 

ザ・バーテンダーズ エプロン

今月は二種類のエプロンの製作をしました。

(いずれもメーカーのロゴが胸元にあります。左はプリントで右はステンシルでの施工です)

 

クラフツマンらしさが出るようにシルエットをあえてシャープにしすぎず生成り系のコットン生地に茶系のレザーポケットの組み合わせがナチュラルテイストなロングエプロンです。ショルダーは本体とホックにて取り外しができて本体のレザーはウォッシャブルタイプなので洗濯可能です。ひざ丈なのでスリットがなくても動きやすいと思います。

 

こちらもショルダーとポケット類も本体から取り外し可能なので革以外は洗濯できます。厚めの帆布生地と上質な牛革は色の組み合わせもブルックリンスタイルなイメージに仕上がっています。

バーテンダーさんのエプロンは衛生面でも洗濯できることが望ましいのでウォッシャブルタイプのレザーや取り外しができるショルダーが便利ですよね。

6年目に向かって。

革り小物 Asteri*sk は2018年3月21日で満5周年を迎えます。用賀のこの場所に看板を出してまる5年になります。

東京はあいにくのお天気になりそうですがこの日から3月24日の土曜日まで周年イベントも開催致します。

実店舗では全品10%offやお買い上げの方に恒例の多肉植物をプレゼント致します。

(24日土曜日は午前10時から午後18時まで営業)

今週末3月24日(土)頃から近くの砧公園の桜も見頃になるでしょう。毎年多くの人でにぎわうお花見スポットでも有名です。ぜひお花見ついでに遊びに来てくださいね。

無事にこの日を迎えることが出来ましたのも家族、スタッフ、友人、常連様、全国から応援してくれた皆様、革屋さんや革仲間のおかげです。すべての事に感謝して心より嬉しい気持ちでいっぱいです。

本当にありがとうございます。

 

この一年を振り返り革り小物として成長できているのだろうか…。

山あり谷ありの日々ですが、共感してくれる人がいる限り作り続けていきたいという気持ちが増してきます。

飽きることのない革の魅力をもっと広めていくべく常に想像力を掻き立てていきたいと思います。

6年目に向かって更に革り小物らしさをお届けできれば嬉しいです!

 

そこに表れる端革の言い分

私にとっての端革は単なる端っこの使えない革ではなく、皮が革になる前の生きていた時の原型としての自然なままの貴重なフォルムであり、このガタガタは美なのです。このラインを見つめるほどに色気さえも感じてしまいます。

物を入れて移動するための道具としては充分に丈夫でシンプルな形ですが、端革のさりげない表現力はまさに唯一でそこにしかありません。

タンニン鞣しの牛オイルレザーはたっぷりと太陽を浴びて日焼けをしたり、手の体温や季節の変化に合わせて吸湿を繰り返してゆっくりと経年変化を楽しんでいくのでしょうか。

大きすぎるトートバッグは総革使いだと重量も気になりますが薄手の革にすることで軽減されています。

こちらは革好きの方からのオーダーでした。革に対するこだわりというものはお客様からお聞きする度に新鮮で日々学ばせて頂く貴重なものです。

お客様が言われていた「ええもんこさえてや」その一言には革への愛情を感じずにはいられませんでした。裏地ナシ、最小限のコバ磨き、下地処理も抑えめで価格と比例するような仕立てですが「simple is best」というテーマにあった仕上がりになったかと思います。シンプルな作りの反面、端革の使い方にはかなりこだわりました。

 

その度に自分はちゃんと革と向き合えているだろうか、手にした革を活かしてあげられているだろうかとか そんなことを考えながら今日も革との対話を楽しんでみたり(^^

一枚の半裁の革と対話をしていると端革が言うのです…。「っね。たまらないでしょ」って。

端革様の言い分も聞いてあげながら革を選ぶ楽しさったらたまりませんよ。

(端革の事を端革さんから端革様に呼び方も変わり格上げされました(笑))

 

最近は同時に同じもののオーダーというのも珍しくなくなってきました。なんでしょうか。引き寄せられるものなのでしょうか。

既製品にはない味わいあるものを。そんなこだわりのオーダーが続いています。

 

カラフル フェブラリー

白の品格。

白い革のトートバッグ。

 

芯の強さを感じる優しいオレンジ色。

特殊な鍵の大きさに合わせてオーダーされたファスナーキーケース。

 

 

パワーを感じる赤と青のコントラスト。

管楽器専用のパーツケースはサイズを合わせてオーダー。

 

堂々とした深緑。

プライベートワークショップをご利用のお客様。贈る方への想いがこもる素敵なコインケースが仕上がりました。

 

緑の奥深さ。

 

ボックス型コインケースは背面にカードと真ん中にお札も折って収納できます。

 

 

絵コンテパッドケースのメインテナンスとエイジング

使い込まれた革小物を見せて頂く度に毎回うっとりしてしまいます。使用前と比べるとそのツヤ感。傷やシミもクタッと癖がついた感じもジェラシーを感じるくらい(?)のある意味、私たちは革への変態さを兼ね備えております。

そんな使い込まれた革をクリーニングしてオイルアップしている時はどんなに忙しくても至福の時間でもあります。

そう!気持ちは…、まるで正座をして玄関でご主人の靴を磨くひたむきな家政婦さんのように。

切れた糸や金具の交換と一年目のオイルメンテナンスは無償で対応しておりますので

遠慮なくお申し付けくださいね。

こちらはメンテナンス前のブラウンのコンテパッドケース。

そしてこちらがメンテナンス後のコンテパッドケースです。

末永くご愛用頂けることが何よりの喜びです。

こちらは別のコンテケース。もう何年もご愛用頂いております。

今回はホックの交換をさせて頂きました。

右側が使用前のナチュラル。左側が使用後数年のナチュラル。

同じ革色とは思えないほどの見事なエイジングです。

コーヒー豆のような美しい艶感にうっとりしてしまいます。

 

バイカラーのショルダーバック

工房の近所にはいつもよく行くお店があります。そこで出会う方たちは本当に楽しい人ばかりです。

いつもご夫婦でいらっしゃるその方と久しぶりにお会いした時の事。おもむろにお店のランチョンマットの紙に手書きで書いたバッグの絵とどこかのバッグの写真が載った切り抜きを私に手渡したのです。

このイメージでバッグを作って欲しいと。

彼はアートディレクターのお仕事の方だと聞いていたような記憶があったのでイメージ出来ている人とは話が早い!ということで二つ返事でOKしたのです。

少しだけ大きめのショルダーバッグは開口部分がファスナーであること。肩からも斜め掛けにもできること。しっかり収納できること。とにかく軽いのが希望ということでした。

ところが片面は赤!片面は青で!自分の使っているロゴを抜き文字にしてほしいとのこと。

赤×青なんて赤鬼と青鬼もびっくりする色の組合わせじゃないですかっ!

不安半分の私は素材を見に彼に工房まで足を運んでもらいました。薄手の革はイメージに合っていたのですが

素材を確認してもらったら赤×グレーにしようということに決定しました。

(私史上、最も派手派手なバッグは回避できましたが)

きっと彼には仕上がりのイメージまでできていたのでしょう。

基本の形は2wayトートバッグと同型のマチを内側にたたみ込むタイプで。見た目はスリムですが結構な量が収納出来ます。

問題は抜き文字です。カービングでもなくヒートペンでもなく本体の革に文字を切り抜いて裏から違う色の革を張りステッチをかけるという…。仕上がりを間違えればハンドメイド感たっぷりのアートすぎる方向に走りそうな予感もしながら製作に取りかかりました。

赤×グレーというそれだけでも見た目のインパクトと意外性のあるバイカラーのバッグ。仕上がってみると私が想像していた以上のまとまりのあるものになりました。

アシンメントリーという釣り合いの取れていないアンバラスさが人の心に残るという遊び心のあるデザインを。

ひらめきと思いつき。

迷ったら一度手を止めて離れて見てみる。

チーズのように熟成させることでより良い方向になるという。

納品の日の夜。普段は無口な彼は笑顔で語ってくれたのでした。

 

ヌメ革のバックパック

これはもしかしたら誰かの陰謀で店に送り込まれた産業スパイか新手の詐欺なのかもしれない。いったいなぜ…。ここ数日の私はバッグを作りながらも頭の中では色々な雑念ばかりが頭の中をよぎってしまうのでした。

ある日の夕方、一本の電話が鳴りそのお客様は慣れた口調で「今からお店に行きます」と。

少しして現れたその方は電話の主で初めてご来店の様子でした。紙袋のような革袋がお目当てだったのでしょうか少しお話したあとにリュックサックタイプにしたいとのご希望でセミオーダーでお受けしようかと思ったのです。

形状や仕様について参考になればとたまたま自分用に使っていたヌメ革のバックパックをお見せしたのです。

すると彼は「まさにこれです!探していたのはこれです!これを譲ってください!今これしか持っていなくて…」と慌てて財布をを出しながら言いました。あまりの勢いに押され気味になってしまったのですが使用感のあるこのバックパックを譲るわけにはいかないし…。

彼がセールスマンならイチコロです。彼がテレビショッピングの人なら大人買いしているところです。その巧みな口調に気を良くしてしまった私は新しくお作りしますよと思わず言ってしまったのです。

そんなにダイレクトに褒められることに慣れていない私はちょっと浮足立っていたかもしれません。私は完全に乗せられてしまったのです。

それでも彼は私の使っているクタッとしたバックパックを名残惜しそうに見ながら少しだけ残念そうに同じものを作ることを了承してくれました。なんだかキツネにつままれたような変な気分でした。

このバックパックはサンプルとして試したい革を使ってみたくて開口部分を巻きタイプにしてザックリ感のあるシンプルなイメージで作ってみました。使ってみるとわかることってあって普段使いするにはちょっとだけ大きめでした。1泊や海外へ行く時の手荷物用にはものすごく重宝なバックパックです。

以前、知り合いからも同じものが欲しいと言われていたことを思い出しまとめて作ってみることにしたのです。

うん。勢いって大事ですね。

豚革なので背中面の通気性もほどよくジワジワとエイジングも楽しめる素材です。

完成したそのバックパックを見ながらふと思うのでした。渡したくないかもと。ですが完成したことを連絡すると思ったよりも早くご来店くださったのです。

とても喜んで受け取ってくださったのですが「やっぱりミトさんのそのリュックのほうがいい」と。

嬉しいような何とも言えない複雑な気分なのでした。彼はスパイでも詐欺師でもなく作り手魂に火をつけるという素敵なサプライズをしてくれたのでした。

結果として喜んでもらえるならそれでいいしそれがいい。それをモットーにこれからも革の良さが活かせる物づくりをしていきたいものです。