小さな革工房物語 2020.03

キッズワークショップを始めて1週間ほど経った頃 、朝10時頃にオープン準備をしていると1人の少年がやってきた。小学校3年生の彼はワークショップをやりに来てくれたらしく準備が出来ていないので予約だけしてもらうつもりでした。しかし彼はわざわざ掲示板のポスターを見てBOPに行く前にきてくれたという事で「じゃあ、今やっていく?」という流れになりました。

完成したブレスレットを見てハッとしました。 ” KIZUNA ” と打刻されているので私は彼に歳を訊ねました。9歳だと言います。 偶然にもその日は3.11でした。 彼と特別な日に出会えた事は私にとってとても感慨深いものとなりました。 その日のあの時間に黙とうをしてしてから東北で出会った方に電話をしてみました。 忘れてはいけない日を思い起こさせてくれたきずなくんでした。

さて3月に入り、ますます世間がざわついてきました。 毎年3月初めにまとめる確定申告の提出期限が1か月延長とか学校は臨時休校とか異例づくめです。勢いでキッズワークショップを企画したところ連日予約でいっぱいになりました。(その様子は別ブログにアップしますね)

春めいてきた3月はフリーペーパーの撮影からスタートでした。

常連様からのオーダー。コームドライヤーのコーム部分のカバーの製作です。

コンテケースに斜め掛けストラップをカスタマイズ。

【今月のリペア】三脚スツールの補修です。

上がビフォー、下がアフター

初めてのご来店なのにお店に入って開口一番「うん!ここならやってくれそうだ!」そんなこと言われたら身構えてしまうものですが、 大切な恩師から戴いたものを永くご愛用されているスツール。座面がとうとう敗れてしまいご相談にいらっしゃいました。 この先何十年と使えるようにしますよ…。革製品を買う人、使う人、直しても使いたい人。それはその人にしかわからないストーリーがあるんだといつも思うわけです。

特に私はエイジングフェチな傾向があるようです。新品のブランド物のお財布よりも革が乾燥と補油を繰り返してひび割れて糸も劣化しかけているのにその姿は時を重ねた集大成のようなカッコよさを感じてしまうのです。人に歴史あり!みたいに革小物に歴史ありです。長く使えることも本革の良さでもあるのです。

【今月のフルオーダー】クルクルと革紐で巻き留めるタイプの包丁ケースです。

外側が革、内側が帆布。なんだかんだと言って包丁を4~6丁ほど持ち歩くと重量もそうですが、高さが40cm程となると大きいなぁと毎回の感想です。大きすぎず、あらゆるサイズがカバーできるとなるとこれくらい必要になってくるのかなぁ。できるだけ使う方のニーズに合わせてお作りしたいところなので包丁サイズをお伺いしてサイズを決めるようにしています。

こちらは端革使いのトートバッグです。当初の目的としてはスタンド型アイロンを持ち運びするためにということで耐熱性生地を裏地にしようかということになりましたが、普段使いもできるように綿生地を裏地にしてこのサイズ感になりました。

【今月のセミオーダー】どーんと彩り豊かな台本カバーたちです。

差し込むタイプから
提げるタイプから
かぶせるタイプから
多機能タイプまで

全部違う仕様で作りますなんて一体誰が言ったのでしょうか(…ワタシです)

時にお贈りする相手の方のイメージをご相談しながら色の組み合わせをご提案させていただくこともあります。 よほどのことは出来ないかもとか言ってしまいますが、まずはお気軽にご相談ください。

最後になりましたが、3月21(土)に実店舗は満7周年を無事に迎えることができました。今年は静かにお祝いしました。ここまで来れたのもいつも応援してくださる皆様やスタッフ、家族や友人たちのおかげです。本当にありがとうございます。8年目に向かっていこうとする今、世の中の特別な事態の収束を願いながら自分にできることをやっていこうと思います。