小さな革工房物語 2020.05

ある朝、うれしいことがあったのです。ラジオのオンエアの一コマを気に留めてくれた方がわざわざメールをくださったのです。 そういうことってありそうでなかなかないことで、なんというか…、一通のメールでものすごいモチベーションがあがりました。 時に沈みがちになりそうな毎日の中で 心を動かされるような出来事でした。嬉しいお言葉のメールに私たちこそが心を動かす作品や商品づくりに努めていきたいと強く思ったのでした。

やっと5月27日(水)から営業再開となります。7週間の臨時休業の間、この日を待ちわびる毎日でした。 接客業でもある我々は「新しい生活様式」という言葉はなかなか受け止めきれなくていまだに違和感でしかないのです。どうやって蜜を避けコミュニケーションをとっていけばいいのか難しいところです。ともあれ店内とスタッフの衛生ルールを徹底してわざわざご来店下さるお客様を快適にお迎えできるように努めて参ります。

さて、5月の最初はエプロンのオーダーから始まりました。

元々のエプロンと同じ仕上がりというオーダーだったのですが、海外製の為、金具、革、テープなど同等品を探すのはなかなかの苦戦でした。胸元のロゴは刺繡からプリントに変更です。毎度ロゴプリントの時にお世話になっているところでゴールデンウィークとコロナ禍の中での発注で納期ギリギリでした。

ネイビーのスマホカバーです。

久しぶりのiPhone 11pro バースデーギフトにということでした。

続いてはお札入れのオーダーです。

マチなしでカードが4枚だけでいいというシンプルなお札入れは本革らしさが引き立つ仕上がりです。

それから急ぎではないからと後回しにしていたフルオーダーにようやく取り掛かりました。ボルドーのバックパックトートです。

以前に総レザーで別のバックパックを作ったのですが、通勤用にご使用とのことでもう二まわり大きめのサイズのご希望と背面に汗を吸ってしまい色移りが目立ってきたので、今回は革ではなく帆布をメインに製作してみました。結構な大きさなんですよ。ですが肩回りのある彼には理想のサイズ感になったようです。

【今月の紙袋のような革袋のセミオーダー】

A3が入るサイズ変更と内部にオープンポケットと開口部にホック、底補強板のカスタマイズです。

右が定番サイズのA4タテ型。左が今回のA3タテ型です。

持ち手を革紐に変更したタイプ

シックな仕上がりで好きなタイプの子です。

同じく革紐での持ち手をご希望のお客様からはハトメ金具がNGとのことでやったことのない方法でやってみました。

こちらはヌメ革のマチの大きなトートバッグです。

理想のシェイプとヌメ革を育てたいというお客様の熱意を形にできて良かったです。うんと日焼けしてあめ色へと変化していく様子を楽しんでくださいね。

もうそれは新しいペットを迎え入れるような気持ちといいましょうか。バッグを飼っている感覚に近いのではと共感しました。そんな風に可愛がってもらえるバッグなんて幸せ者ですよね。

先月のオーダーで手染めのブルーの台本カバーをアップしましたが、好評で常連様や初めての方からのお問い合わせが続きました。

こちらはメガネケースとして革紐で巻くタイプのご注文をいただきました。

こちらは息子さんへのバースデーギフトということでメガネケースとスマホケースを合体したものをというご要望でした。

まるで浮いて見えるような半立体的なデザイン。久しぶりにアイデア賞だと思いました。このストラップはパラコードで外すとメガネストラップにもなる欲張り仕様です。

最後はずっと頼まれていた夏に向かって首元おしゃれしたいさんからの依頼のチョーカーです。

題して金具レスのチョーカー。ブラウンのサドルレザーの原厚を磨いた無垢な本革です。この固めの革が首周りでしっくりと柔らかくなってくるのを今から想像しています。

休業中のこの期間は対面でのお打ち合わせができないのですべてメールかラインでのやり取りです。ラインだと画像を交えてチャット式でお話しができるのでお客様のご要望も伝わりやすい気がします。

毎日来るスマホのニュース速報。「今日の東京の感染者は〇人だって」そんな会話には慣れてしまいました。(慣れるべきじゃないですよね)

自粛の延長の決定と緊急事態宣言の解除の報道がされた日はウエブストアでは堰を切ったようにご注文が続いたのです。こんなご時世にも関わらず嬉しい限りです。それにしても不思議な現象です。ウエブストアの動向は世相が反映される小さなマーケティングリサーチですね。

そろそろ夏に向かって気分転換に新しい革小物を見つけてください。