こだわりのメイク道具入れ

メイクさんが撮影現場などで使う仕事道具を入れるバッグとして「ヘアメイクスタジオバッグ」という名称で市販されているものがある。その多くはナイロン素材などで機能的で多目的に収納できる使い勝手のいい優れもの。

ただ、それだとしっくりこないということ。他には売っていないオリジナリティ溢れるもの。

 

移動時も仕事道具を丸見えになることが気になる…、まるでそのものということがわからないようなバッグがいい。使うものはすべてミニマムにまとめられていて取り出しやすく使いやすいことがご要望でした。

バッグ本体のカブセにアートワークを施した世界地図を描いてほしいとのこと。(世界地図は打ち合わせをした際にお店にあった革のマットを見て選ばれたのだと思う)

市販のものに革のカブセとショルダーを付けるのも一案じゃないかと(思う私)

ご来店時にご要望をうかがい、実際に使用する備品をお借りして実寸で寸法を出してイメージを絵にしてみる。

それらをLINEで画像を送り確認してもらい修正をかけたり、素材を確認してもらったり、何度も打ち合わせを繰り返して実際に形になったものはイメージ通りコンパクト。こんなにコンパクトでいいのかしらと(思う私)

 

見た目はコンパクトでも金額はコンパクトではないのが今回のフルオーダー。金額とサイズの反比例感(に勝手にさいなまれる私)

結果、私の不安をよそに納品時には大変喜んでいただきました(ホッとした私)

 

製作中もせっかくオーダーメイドで作ったのに気に入って使ってもらえなければ…、使い心地が悪くては意味がないしと(いつもの重圧を背負う私)

 

w240×h165の本体にスプレーボトル類3本ほど、筆ブラシ、リップブラシ、アイラッシュブラシ、コーム、ポケットティッシュ、綿棒、爪楊枝、ハンディファン、リップ、ダッカール等々。

 

バッグのフォルムはウエストバッグのようにワンショルダーの斜め掛けにして。肩当パッドで重量を軽減して。パフスペースとブラシのスペースには衛生面に配慮して取りかえられるPP板のリフィルをセット。

 

素材はバッグの背面(つまり胸にあたる部分)をパラフィン加工の帆布にして、内部の裏地をナイロンと綿地に。本体は牛革をパーツごとに揉み加工してみたりしてシボ感をあえて出してみた。

ほぼ裏地を貼ったりする部分が多い今回のオーダー。それに加えてポケット類の数も多い。

見える部分の革はハンドメイド感がでるように手縫いを施したり、凝りに凝ったがすべてブラックなのでまったく一つにまとまっていて目立たない。

 

ヒートペンで一発描きした世界地図のアートワークのカブセが個性を放っている。そこだけものすごいハンドメイド感。(エイジングしてクタッとしてくると古い地図のように見えるでしょうか)

 

腰が低くて芯がある…、譲れるところと譲れないところがはっきりしている。そんな彼の姿勢には仕事に対する情熱がヒシヒシと伝わってくるのです。そんなお客様のご活躍を心よりお祈りしております。

 

とにもかくにも。無茶なオーダーを受けるな。無茶なオーダーほど燃えようとするもう一人の悪い自分に言ってやりたい。さて今夜あたり反省会という名目の一人打ち上げでもします。