小さな革工房物語 2021.01

“ お魚キーケース ”という名前で初期のころからオリジナル商品として地味にやらせていただいておりますが、この度、テレビ朝日のドラマで台本カバーと共に使っていただけることになりました。中にはリールキーが内蔵してあるので“口から鍵食う魚”としてバッグに付けたりできます。一匹ずつカービングとスタンピングで異なるデザインとちょっと間抜けな顔が特徴です。

それから12月の慌ただしい時期に思い立ったように受験してみました。1か月後、忘れていた頃に届いた合格通知。これで私もソムリエに。(本職なのにこれで落ちていたら笑うしかないですよね)

さてさて1月はひと言でいうと「ブラックな1月」でした。

名付けて『black January』(バンド名みたいです)

紙袋のセミオーダーも台本カバーもフルオーダーの革小物もリペアのバッグもブラック尽くしでした。

ある日の年末に送られてきた台本バッグのリペアとメンテンス。いつもオーダーいただく映像制作会社の方からです。

全部で4台。ペン挿しを新調しました。

それから間もなくのこと。このサイズが希望だというセミオーダーでのお問合せがありました。

w230*h285*d100というB5タテよりも少しスマートなサイズ感です。理想のシェイプってみんな違うものですね。

ブラックベースのショルダー付き台本カバーです。ペン挿しとポケットはボルドーという渋いチョイスの仕上がりになりました。

ご愛用のメモ帳カバーを革でのオーダー。薄めの革は栃木レザーの牛オイルレザーと豚革で製作しました。

今回一番苦労したのはこちらのバッグのリペアです。毎回ご相談いただくのですが、裏地が傷んでしまったので交換することに。

マチの糸を全部ほどき裏地を張り替えてミシンと手縫いで仕立てました。

すっきりきれいにしあがりました。

きれいな裏地になってほっと一安心したのも束の間。初めての方からのご相談。LINEでのやり取りで小さめサイズの紙袋のような革袋を牛革バージョンで。ショルダー付き、ポケット付きというご要望でした。

ほどなく、スマートキーケースのご相談が。立て込んでいる時は4週間以上かかるフルオーダーですが今回も納期まで時間がなく一度はお断りをさせていただきましたが、お客様の想いが私を駆り立てさせたと言いましょうか。

とはいえあまり関わったことのないスマートキーです。現物もないのでお受けしたもののやはり断るべきだったかと私の頭の中の天使と悪魔が喧嘩しだす始末。

なんとか形となり納期には間に合いましたが、やっぱり危ない橋を渡るのは周りのスタッフのヒヤヒヤしながら見守る視線が申し訳なかったです。

「ブラックな1月」と言いながらもちゃんと他の(色?)製作も進めましたよ。

腰鉈ケースです。特徴的な持ち手部分も含めての形状。やはり現物があると作りやすいです。

もちろん台本カバーも。

今月も色とりどりでした。

(しおりを忘れたりペンケースの色を間違えたりとうっかりミスをしてしまいスミマセンでした)猛省して今月から“失敗メモ”を作って自分を戒めます。m(__)m

紙袋のような革袋のくしゃくしゃ加工やアートワークでのオーダーなど。卸しの製作もありました。

こちらはB4ヨコに開口部をファスナー、内部にオープンポケット、肩掛けタイプの持ち手に変更というセミオーダーです。


そう、それでも新しい年はやってくるということですよね。

1月1日のお日様はとても暖かでした。 まぶしい太陽の日差しを浴びて思い切り伸びをして公園で光合成。 一日、一日を乗り切るのに大変な日々ですがそれでも新しい日々はやってくるものです。今回オーダーいただいた皆様は初めましての方から古い常連様まで。そのご依頼をくださる皆様の想いはそれぞれです。医療従事者の方やドクターの方もいらっしゃいました。自分たちよりも目の当たりにする現状を聴くたびに思うことはネガティブよりもポジティブでいること。噂や数字に惑わされないように。なんとか警察とか根拠のない正義感は違った方向に向いてしまうと思うのです。

予想以上に厳しい年末年始を過ごすことになりまったくどこにも行くこともなくあっという間に仕事始めを迎えることになりました。今年はお客様のお店や革屋さんへのあいさつまわりもなく静かな工房で2月もひたすら製作にいそしんでおります。