小さな革工房物語 2019.11

ゆるぎなく言い切ってもいいことがあるのです。例えばホルモンを美味しそうに食べる人が苦手だとか、葛根湯を躊躇なく飲める人を尊敬しているとか、店の前にタバコの吸い殻を捨てていく人ってどうかしているって。

自分基準ですが言い切っちゃっていいと思います。

そのタバコの吸い殻を集めてDNA鑑定に出して捨てた人を特定して、クリスマスラッピングしてお返ししてみたら喜んでくれるでしょうか。

まっ、そんなことがあった11月ですが、ちょっといいこともあったのです。ウエブストアからご注文のお客様から通信備考欄に「引っ越ししたけど応援してます!」って。以前、工房のあるこの建物にお住まいの方からでした。こういうのってうれしいものです。

さて今月は超大物の納品から始まりました。

見てください。この巨大バッグ。人も見降ろすほどの大きさのトートバッグです。(詳しくは別ブログにアップしていますのでご覧ください)

続いて…。

黒の本革トレイはB4サイズほど。大中小の革のボックスを組み込めば…。

どの向きに入れ替えてもパズルのように位置を変えられる優れもの。

使う人によって使い勝手は変わるもの。位置が変えられるのってなかなかのアイディアです。オフィスの雑多に見える細かなものでも革のトレイに整理されているだけでお客様から見える印象は違うはずです。

探してもなかなかないのでということでオーダーいただきました。

オリーブの雰囲気が大人渋いスタッフポーチの完成です。牛革なのに止水ファスナー使い。アウトドアをこよなく愛する革好き様から。

このバッグパックのイメージはBig mouth be come…。(多分私のことかも)

トートバッグにもなるバッグパック。お使いいただいていたものは薄くて柔らかなトートバッグでした。それをバッグパックに改造。でも柔らかなので荷物を入れると開口部が引っ張られてすぐに開いてしまうとのこと。「できれば背中にベニヤ板を貼ってほしいくらいだ」と。聞けば2Lのペットボトルを2本買い物されたりと重いものを入れたいそうで…。今のままでは難しいので新しく製作させていただきました。奥様からのプレゼントだそうです。断らない(断れない)私の悪い癖…。大きな口をたたいたものです。「やってみます!」と。

こちらは常連様。

エルボーパットをつけてほしいとのこと。愛着のあるカーディガンを永く大切にされるその心意気ったら彼らしさだと思う。

【今月のワークショップ】

ご自身で浅草橋で1枚の切革を購入されたものの仕上げ方がわからず、持ち込まれました。バインダーノートの製作です。ボルドーの牛革に下地処理をして磨き、バインダー金具と留め具の革紐をつけて出来上がり。簡単でしたが大変喜んでいただけました。

【今月のセミオーダー】

セミオーダーのレジ袋のような革袋。ブラックは季節的にもニーズがあるようでまとめて作ったらパタパタと全部出てしまいました。

ダークな色目は寒い時期、人気なのか追加製作する予定です。

このブラウンのA4タテ型は通常よりマチが薄い8cmタイプ。通常は10cm。マイナス2cm。そのこだわりオシャレすぎます。

今月の台本カバーはネイビー×キャメル

ペン挿しで開閉をロックできます。毎月のようにセミオーダーが続く台本カバーですが、ギフトの方が8割くらいのようです。

こちらはネイビーの文庫本カバー

革製の鍵のしおりがアクセントに。

The COBRA BUCKLE  その名もコブラバックルです。お客様のご要望で取り寄せてみたのですが、使用感はものすごくいいです。耐久性を考えて作らているアウトドア向けですが、革バッグとの相性も良さそう!ということで早速試しにワンショルダーにしてみました。

【今月のリペア】

合皮のショルダーを本革に交換。根革はタッチアップのみです。合皮は劣化が激しいので見るからに悲しくなりますね。これで末永くご使用いただけるでしょう。

こちらは2台の長財布をタバコケースにリメイクです。

完成したのはこちら。タテ型とヨコ型です。

もともとのお財布も年期が入っていてリメイクは 失敗が効かないのでなかなか勇気のいる作業です。慎重に解体するところから始まります。手縫いで進めました。

ギフトシーズン突入ということでウエブストアや実店舗では早くもクリスマスラッピングが続いています。新登場のヌメ革の紙袋のような革袋とA4ファイルのセット絵コンテパッドの2020限定バージョンも登場しました。先に新発売した革のトリポッドチェアも好評です。

ショコラ・ダ・ファミリアさんとのコラボ企画。チョコと革小物のギフトセットは12月1日~12月25日まで期間限定で販売がスタートします。楽しみです。

私自身そこまでスイーツ好きなわけじゃないけれどこのチョコは特別。優しい気持ちになれます(もはや必要かもです)

(常連様 FILE No11)

そこはさながら大人の秘密基地…。初めて彼のアトリエに行ったとき頭にいっぱつくらってしまったのです。 ショップのように並べられた革靴にブーツ。カウンターには靴磨きの道具が美しくディスプレイされ、奥の棚にはUSコンボイっぽいトラックのプラモデル軍団が並び、壁面にはロードバイクが掛けれていて、奥の部屋には自作の真空管アンプに大型スピーカー。一眼レフのカメラが置かれていた棚の壁には風景写真を造作したアートな写真が飾られていて…。ごじぶんの作品だそうです。ガレージには木工の工具や棚板がすぐに作業できる状態になっていてテーブルや椅子なども自作されるそう。そんな趣味多彩なKさんが次にハマってしまったのがレザークラフト。お店にいらしては革や金具を購入されたり、時に作品を見せてくれたりするのです。手先の器用なKさんは何より手縫いが好きなようで長いショルダーを一針ずつ縫っている時がとても楽しいそうです。欲しいものが出来たらどうやって作ろうか作り方を聞きに来る眼はまるで少年のようです。