小さな革工房物語 2019.03

オープン6周年の3月はいつにも増して忙しい。受験、卒業、入学。出会いと別れのこの季節。サクラサク。なぜに満開の桜はこれほどまでに人々の心をつかむのでしょうか。淡いピンクの花びらは厳しい冬が終わり、希望の春の知らせのような嬉しい気分になりますね。

 

(常連様 FILE No3)

今月はこちらのダーツケースをオーダーされたM様。

彼が初めてご来店されたのは数年前のクリスマスギフトにトートバッグをセミオーダーされたのがきっかけです。それからご自分用のワンショルダーバッグにコインケースやバックパック、ダーツケースなどなど。

あるものを選ばずに必ずカスタムするというそのこだわり方が意地悪なお客様です。

いつもお仕事帰りや犬のお散歩途中にお立ち寄りくださり、世間話の流れから「次何作ろうかな」と企むのが最近の彼の得意技かもしれません。

そういえば今週新たにやってきたジャスミンの植木の手入れを彼にしてもらいました。みるみるうちに剪定されてきれいさっぱり。枝と枝のバランスを考えたり植木を触るその姿はまさに職人さん。次はそのハサミケースか腰袋作りましょうかね。

 

さて、今月の製作の様子です。

 

 

“ 牛革の紙袋のような革袋 ”のセミオーダーを2タイプ。

A4タテの黒はサイズと持ち手幅の変更に内部にポケットをつけました。

こちらも同じようにカスタマイズされたA4ヨコ型のナチュラルです。お客様のご希望でマジックテープでの開閉式にしてみました。

さて今年に入り台本カバーのご注文が続いております。

今月は様々なカラーセミオーダーや長さ調整可能なショルダー付きの台本カバーが7台続きました。

台本カバーはギフトでのご注文が多いのです。ネーム刻印も好評です。

 

絵コンテパッドケースとお揃いの台本カバーはグレーで渋く決まってます。

 

次はロングエプロンのオーダーです。

インディゴの帆布にヴィンテージ感のあるレザーとの組み合わせ。こちらは飲食店の方へのギフトにとのこと。

 

ブルーのミニトートバッグ。この牛革の質感はしっとりとした肌触りでコシもあります。

システム手帳カバー。

こちらは一枚の革をヌメのまま、オイルアップしてレザースプレーで艶を出したもの、オイルインの上にミツロウを刷り込み、熱処理を施してから揉み加工をしたものとそれぞれ違う表情に仕上げてみました

もちろん端革のデザインは外ポケットとして。真鍮のコンチョがアクセントです。内部は両側に切り込みのポケットと三角の付箋代わりの革にリフィルに挟み込めるファスナーケースを付けました。

デザインも納期も予算もすべてお任せということでお客様のお好みを聞きながらイメージを膨らませてみました。

こちらはエイジングの様子です。

久しぶりにお立ち寄りくださるお客様が見せてくれたキーケース。育ってますね。コードバンのヌメを淡く染色して手縫いをワークショップでご自身で作られたもの。味わい深く育ってます。

ただの紙袋のイエローをオイルインして速攻エイジングした常連様。 待てないタイプとみました。

ハンティングのリペアです。

(before)

(after)

サイズ調整のため元の部分を外して縫い直し。

 

実店舗にはセミオーダーやフルオーダーでのご来店のお客様も多くいらっしゃいます。その方の理想のシェイプや希望を的確に見抜くこと。短い打ち合わせの中でその一瞬を見逃さないこと。これに尽きるかなと。

余談ですがお休みをいただいて家族旅行に行っていました。

(お決まりの旅するスパイラルブレスのワンショットです)

青い空、水平線に沈む夕陽。心地よい風に心身ともにリフレッシュしてきました。

また新たな気持ちで、自分なりの直感や感性を信じてワクワクできるモノづくりを目指していきます。